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    • 2020/1/6

    《ドクターズコラム》2020年冬「病気をいかに予防するか?」【しまばら病院】

    病気の予防はできるのでしょうか? できるのならどのような方法でしょうか? 年末にそんな話をしながら散髪してもらっていました。でも、もしほとんどの病気が予防できたら、医者の仕事が無くなりますやん。それって困るんちゃいますか?と床屋のご主人。ほんまや、失業やわ。などと話しながら少ない髪を切ってもらいました。ちなみに、髪が残り僅かな私も散髪に行きます。髪が少ない分、安くならないか?と聞くと、少ない方が切るのが難しいので、高くはなっても安くはできないと言われました。

    冗談はさておき、病気の予防について考えてみましょう。病気の予防として私の印象にあるのは、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーの乳房切除のお話です。2013年、彼女は遺伝性乳癌になるリスクが高い遺伝子変異を持っていることがわかり、癌の発症を予防するために、まだ癌になっていない両方の乳房切除術を受けました。この遺伝性乳癌とは、BRCAという遺伝子に変異があると、70才の時点で56〜87%と高率に乳癌を発症するというものです。また、それに関連した我が国の最近の話題としては、BRCA遺伝子に変異があり乳癌を発症した患者さんでは、反対側のまだ乳癌になっていない方の乳房切除が今年4月から医療保険の適応になるそうです。

    島原病院が専門としている心臓病の予防についてはどうでしょうか? 心臓病が発症したり、発症する可能性が極めて高いと考えられても、乳房とは違って心臓は切除してしまうわけにはいきません。従って、心臓病を予防するには、心臓病の原因となる色々な危険因子の改善に努める必要があるわけです。万一、心臓病になった場合も、お薬や手術などの治療をしてゆくとともに、再発を予防するために危険因子の改善が極めて重要となります。

    さて、この危険因子とはどういうものかを振り返ってみましょう。高血圧症、脂質異常症、喫煙、糖尿病、肥満が代表的な危険因子として挙げられています。これらは全て生活習慣病と呼ばれているものです。すなわち、食べ過ぎ、運動不足、飲み過ぎなどの生活習慣の乱れが、少しづつでも毎日重なってゆくとこのような病気が悪化し、ひいては心臓病を引き起こしてくるわけです。従って、心臓病を予防するには、つまるところ食べるものは程々、腹八分目、歩くことを中心に運動をし、減量、禁煙、節酒、などの努力をし、もし不足な部分があれば薬を服用してコントロールする、ということになります。

    さらに、これは心臓病に限ったことではありません。他の生活習慣病、たとえば脳卒中、腎臓病、大動脈瘤などの血管病、さらには、癌や認知症などの生活習慣病にも当てはまります。つまり、生活習慣の乱れが、日本人の最大の死因である癌の発症や、要介護の最大の原因である認知症の発症につながっているということです。そして、生活習慣を改善することで癌や認知症の発症も減るというデータも出てきています。

    つまり、健康寿命を伸ばすためには、病気の有る無しにかかわらず、生活習慣の改善に積極的に取り組み、それによって心臓血管病、癌、認知症の発症や悪化を予防することが必要であると言える訳です。

    さあ、生活習慣の乱れから始まって、心臓血管病、脳卒中、癌、認知症へと進んでゆくレールから逃れるべく、適切な治療とともに節食と運動を頑張って行こうではありませんか。我々も精一杯お手伝いさせていただきます。

    本年もよろしくお願い申し上げます。


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    2020年元日の日の出、琵琶湖畔にて



    しまばら通信第62号・2020年 冬

    <このコラムの執筆:院長 高橋 衛>

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